今週のお題「怖い話」
ガジェレポ!@gadgerepoです。こんにちは。
これは筆者が若かりし頃、アルバイトをしていた時に体験したお話です。
ガソリンスタンドに入ってきた“その車”は……
当時、筆者は大学を中途退学するも、本当にやりたいことも見つからずフラフラしていた時期がありました。
なかなか仕事も見つからない中、大学のあった京都から地元・岡山に舞い戻り、親元でアルバイトを転々と変えながら、漠然と過ごす毎日。
実家とは少し距離のあるガソリンスタンドでアルバイトを始め、ひと月ほど経った頃。仕事にも慣れ始め余裕ができ、日中から夜間のシフトへと入り始めたある日のことでした。
国道沿いに面するとはいえ田舎のスタンド。夜更けともなるとやはり客足も少なく、バイトの先輩とサービスルームで無駄話をしながら、ただただ時間がすぎるのを待っているような状態です。
そうはいっても無駄話だけでバイト代をもらうわけにもいかず……
先輩は窓拭き用タオルの入れ替えに、筆者はガソリンが揮発するのを防ぐための水撒きをしにそれぞれがフィールドへ出た時に、1台の車がゆ〜っくりとスタンド内に進入してきました。
「オ〜ライ、オ〜ライ!」
最寄りの給油機に、声を上げながら手を振り誘導する筆者。しかし、どうも様子がおかしい。
まず、この暗がりにヘッドライトが点灯していない。
しかもまっすぐ入ってこずに、左右に蛇行しながらこちらに向かってくる。
訝しく思いながら近づいた車を見てみると……
※写真はイメージです。
(あ〜、事故車か〜。)
ものの見事にひしゃげたボンネット。バンパーも外れかかっている様子。
ヘッドライトが点灯していなかったのは左右とも割れてしまったため、蛇行していたのは前輪がやはり激突の衝撃で軸が歪んでしまったからのようです。
しかし、この状態でわざわざ車にガソリンを給油しに来たとは考えられない。大方近くでガードレールか何かにぶつけてしまい、パニクってガソリンスタンドまで車を走らせてきた、というところか。
とはいえ、整備士免許も持たない夜間シフトのガソリンスタンド店員に出来ることなど、せいぜい連絡用に電話を貸してあげるくらいが関の山(当時はまだ携帯電話は一般的でなかった)。
などと思いながら運転席側の窓に近づき、「大丈夫ですか〜?」と声をかけると、その車の持ち主が発した第一声は……
「〇〇神社はこの近くですか!?」
声の主は、年の頃は30代の女性。見た目はごく普通のOLといった出立ちですが、事故のせいか額にうっすらと血がついているのが、事態の深刻さを伺わせます。
が、おおよそ事故を起こした女性が助けを求めるために発する内容とは思えないその言葉に、筆者の理解は追いつきません。
「は?」
「〇〇神社です、あの有名な!」
「今すぐ行きたいんです!」
なぜこの女性は、警察に連絡するでもなく、家族に連絡するでもなく、神社について尋ねてくるのだろう?
そもそも、事故を起こしたのなら車は現場から動かさないほうがいいんじゃないか?なのにわざわざこのガソリンスタンドまで車を走らせ、あまつさえ〇〇神社に向かおうとしているのか?なんで?
混乱気味の筆者の横から、遅れてやってきた先輩が助け舟を出してくれます。
「〇〇神社はこの道を道なりにしばらく行けば、案内の看板が出ているはずですよ。でももうこんな時間ですからね、開いていないでしょうし、この車で神社に向かう山道は無理じゃないですか?」
至極まっとうな先輩の意見。が、当の女性はそれに耳を貸すこともせず……
ガッコン、ガッコン。
と異音を響かせ、蛇行しながら車を走らせ行ってしまいました。
あまりの突飛な出来事に、あっけにとられている筆者。ふっと我に返り、
「〇〇神社って、何が有名なんスか?」
と、やはり呆然とする先輩に聞いてみると、
「厄除けやお祓い、除霊の
「あ〜、ボンネットとかボコボコでしたねぇ。よ〜くあれで走れるもんじゃねぇ。」
「いや、運転席のダッシュボード。お札がビッシリ貼っとったわ。」
まとめ
それからバイトを辞めるまでの1年間、その女性を見かけることはありませんでした。
お祓い、出来たんですかねぇ?
/* アドレス要変更 */ https://t.co/JqeEQN5gRV /* ここも変更 */ August 18, 2020